Lodging-2

2番目の下宿

85, Priory Road, West Hampstead, Miss Milde方
滞在期間 1900年11月12日〜12月下旬

 『始めて下宿したのは北の高台である。赤煉瓦の小じんまりした2階建てが気に入ったので、割合に高い一週二ポンドの宿料を払って、裏の部屋を一間借り受けた』(「下宿」より)

 ここにはすでに長尾半平という日本人が住んでいた。長尾は台湾総督府に勤務し、金銭や時間に制限なくロンドンに出張していた人で、漱石とは対称的に優雅な生活を送っていた。漱石はよく彼と一緒に散歩や近くの料理店に出かけるなど、短期間ではあったが親しく交際していた。
 下宿の主人はドイツ系の女性で、他に彼女に血のつながりのない父、この父の実の息子、それに13、14歳ぐらいの女中という複雑な家族構成である。

 漱石はこの家族の不仲、淋しさ、暗さという雰囲気が不快になりまた金銭的な問題もあって、約1ヶ月しか滞在しなかった。
 この下宿については、「永日小品」中の「下宿」と「過去の匂い」に描かれている。

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