Miss リール

 漱石がシティーの不動産屋に頼み、広告まで出してもらいやっと探し出した最後の下宿の家主。漱石はこの家が気に入り、帰国までの1年4ヶ月を過ごしている。

 友人正岡子規に下宿の家族の事を、以下のように手紙に印している。
 『僕は又移ったよ。・・・僕なんか英吉利へ着てからもう5返目だ。今度の処は御婆さんが二人退職陸軍大佐という御爺さんが一人丸で老人国へ島流しにやられたような仕合さ。この御婆さんが「ミルトン」や「シェークスピア」を読んでいておまけに沸蘭西語をペラペラ弁ずるのだから一寸恐縮する』
 ミス・リールは確かに平均的な英国人より、文学に感心があったようだが、フランス語をペラペラしゃべったのは、彼女がフランスとの国堺の島、チャネル・アイランド出身であったから当然のことである。


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